世界景気の減速局面で使うバリュー投資フィルター

序章:今が本当に「減速局面」かを確認する方法

まず最重要は世界景気の現状確認です。
IMFやOECD、World Bankなどの主要国際機関の見通しは減速を示すケースが多く、投資戦略はこれらのコンセンサスを前提に組み立てるべきです。
例えばIMFのWEOでは世界成長率の鈍化が示され、OECDレポートも成長ペースの低下に注意を促しています。

戦略の基本方針:安さだけで飛びつかない

減速局面では単純なPERの低さは罠になりやすいです。
理由は業績悪化で割安指標がさらに進行するケースがあるためで、安値=底ではない点を常に念頭に置きます。
したがってバリューフィルターは「割安 × キャッシュの安全性 × 収益の持続可能性」を条件化します。

フィルター概要

実務で使う主要フィルターは下記のとおりです。
以降で各フィルターの点数化ルールと説明を示します。

No.フィルター目的
1低PER(業種調整後)市場が織り込む期待の低さを確認する
2低EV/EBITDA借入影響を除いた実質的評価を得る
3営業CFが安定+フリーCF黒字キャッシュで耐えられるか確認する
4有利子負債/EBITDAが低い財務レバレッジで破綻リスクを評価する
5配当利回り+配当性向のバランス株主還元の持続性をチェックする
6粗利率・営業利益率の安定性価格競争で利益が失われないかを評価する
7セクターのディフェンシブ度景気敏感度の低い事業かを判定する

 

フィルター詳細(各項目の実務ルール)

1|低PER(業種調整後)

単純なPERが低い銘柄を捕まえるのは簡単ですが、業種による標準PERを考慮する必要があります。
実務では「同業中央値PERの下位30%かつPER<10」を初期フィルタとします。
ただし金融業はPERが当てはまらないため別途PBRや配当利回りで評価します。

2|低EV/EBITDA

EV/EBITDAは負債を考慮した評価指標で、景気後退で営業利益が一時的に落ちても負債負担が重ければリスクが高まります。
目安は業種中央値比で下位30%かつEV/EBITDA<6を候補とします。

3|営業キャッシュフローとフリーCF

営業CFが黒字で直近3期中2期以上でプラスかつフリーCFが継続的に黒字であることを重視します。
理由は利益計上のバイアス(減価償却、評価益など)を排し、実際に現金で耐えられるかを見るためです。

4|有利子負債/EBITDA

このレバレッジ比率が高い企業は減速局面で金利負担や返済負担が重くなりやすいです。
目安は有利子負債/EBITDA < 3を健全ゾーンとし、3〜4は注意、4超はリスク大と評価します。

5|配当利回りと配当性向

高配当利回りは魅力ですが、配当性向が90%超などで税引後フリーCFが不足していると持続性が怪しくなります。
実務では「配当利回り > 3% かつ 配当性向 < 60%」を理想ゾーンと見ます。

6|粗利率・営業利益率の安定性

粗利率や営業利益率が過去5年で大きく変動していない企業は、製品価格や原価の変動に耐えやすいです。
具体的には過去5年の営業利益率標準偏差が低い企業をプラス評価します。

7|セクターのディフェンシブ度

景気減速局面では公共・生活必需品・医薬・インフラ系などのディフェンシブ業種が相対的に堅調です。
業種スコアを付与してディフェンシブ度の高い企業を優先します。

スコアリング式(Excel / Pythonで使える簡易モデル)

以下は実務で使える点数化の例です。
各指標を合算して総合スコアが高い銘柄をピックアップします。

# 簡易スコア(合計20点満点)
score = 0
if PER_adjusted < industry_median * 0.7: score += 3
if EV_EBITDA < 6: score += 3
if operating_CF_positive_last3_of_4: score += 4
if free_CF_positive_last2_of_3: score += 2
if net_debt_to_ebitda < 3: score += 3 if dividend_yield > 0.03 and payout_ratio < 0.6: score += 2
if gross_margin_stddev_last5 < threshold: score += 2 if sector_defensive: score += 1 # score >= 12 を候補とする

実務チェックリスト(決算チェック時に使う)

チェック項目確認内容
売上の地域分布売上高の約30%以上が景気敏感地域(例:輸出比率が高いか)か確認する
受注残・受注動向設備投資減速で受注残が急減していないか確認する
為替感応度円高で業績に与えるインパクトを試算する
在庫水準在庫回転率の低下が業績悪化の先行指標になっていないか確認する
債務の返済スケジュール短期借入の比率が高くないかを確認する

 

銘柄例(日本株):バリューかつ耐久性のある候補

以下はあくまで例示であり、買い推奨ではありません。
各銘柄は上記フィルターでスクリーニングしやすい代表例として挙げます。

  • 三菱商事(8058) — 多角化したキャッシュフロー、資産売却余地がありディフェンシブ寄りで調達力が高いです。
  • 日本郵船(9101) — 海運は景気敏感だがバリューと配当、資産売却のオプションがある銘柄は注目です。
  • 日東電工(6988) — 高付加価値材料でマージンが堅く、キャッシュ創出力があるケースが多いです。
  • 武田薬品工業(4502) — 製薬はディフェンシブ寄りで配当・自社株買いで還元する傾向があります。
  • 東京電力HD(9501)など再編・国策絡みでバリューに転じるユーティリティ系も候補になります。

リスク管理:下振れを限定するルール

減速局面ではリスク管理が勝敗を分けます。
以下のルールは必ず守ってください。

  • ポジションサイズは単銘柄で総資金の3%以内に制限する。
  • 最大ドローダウン許容はポートフォリオで10%程度に設定する。
  • 逆指値を必ず入れる。ATRベースの逆指値(ATR×1.2〜1.5)を推奨します。
  • 分散は業種と銘柄流動性で行い流動性の低い銘柄は上限を低く設定する。
  • 四半期ごとにスコアを再計算してスコア低下銘柄は利確または削減する。

実務テンプレ:発見→検証→エントリーの流れ

  1. スクリーニングでスコア>=12の銘柄を抽出する。
  2. 直近決算で営業CF・フリーCFの実績を確認する。
  3. 受注残や顧客構成、為替感応度をIRで裏取りする。
  4. 初回エントリーは想定総量の30%で入り、続報で50〜70%まで拡張する。
  5. 四半期ごとにスコアを再計算してローテーション戦略を実行する。

マクロと連動させる(タイミングの工夫)

景気減速の深まりや中央銀行の金融政策変更が投資タイミングに直結します。
フェーズ別に強弱をつけると効率が上がります。
例えば景気悪化初期はディフェンシブ高配当の入替を、深刻化時はキャッシュリッチで負債が少ない銘柄へシフトするようにします。

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まとめ:減速局面での勝ち筋は「割安+耐久性」

まとめます。
世界景気の減速を前提にバリュー投資を行うなら、単純な割安指標だけでなくキャッシュ創出力、レバレッジの低さ、配当の持続性、セクターのディフェンシブ度を複合的に評価する必要があります。
本稿のスコアリング式とチェックリストをワークフローに落とし込み、四半期ごとの再評価を運用ルールに組み込むことを推奨します。

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