村田製作所株に見るTPOチャートと乖離率の関係性

はじめに

日本を代表する電子部品メーカー村田製作所(証券コード6981)を例に、TPOチャートと乖離率の関係を探ります。
TPOチャートは時間帯ごとに価格と出来高の集中度を可視化する一種のMarket Profileです。
一方、乖離率は株価と移動平均線やVWAPのズレを示す指標で、過熱感やリバウンドの予兆を捉えます。
本記事では両者を組み合わせた分析手法を学び、実践的なエントリーポイントとリスク管理法まで解説します。

TPOチャートとは何か

基本概念と歴史

TPOはTime Price Opportunityの略で、特定の時間帯に価格がどれだけ取引されたかを示します。
1980年代にパット・D・ジルバートが考案したMarket Profileの一部として広まりました。
縦軸に価格、横軸に時間帯を置き、各価格帯に滞留した時間をアルファベットで表記します。

Market Profileとの違い

Market ProfileはTPOと出来高を組み合わせた分析ですが、TPOチャートは特に時間軸にフォーカスします。
出来高プロファイルとは異なる視点で過去の値動きを俯瞰できるため、サポートやレジスタンスの強弱を直感的に把握できます。

乖離率の基礎知識

移動平均乖離率の計算方法

移動平均乖離率は、(株価-移動平均)÷移動平均×100で算出します。
たとえば25日移動平均乖離率が+5%なら、株価が移動平均より5%高い過熱水準を示します。
過去の乖離率推移と現在の偏差を比較することで、リバウンド余地や上昇の勢いを予測できます。

VWAP乖離とATRブレイクアウト

VWAP乖離率は一日の売買平均価格とのズレを可視化し、個別株のデイトレードやスイングで活用されます。
ATR(Average True Range)を使ったブレイクアウト戦略と組み合わせると、ボラティリティ拡大局面での逆張りや順張りのタイミングが明確になります。

村田製作所株(6981)の基本情報

企業概要

村田製作所は多層セラミックコンデンサや通信モジュールで世界トップシェアを誇る企業です。
IoT、自動車用電子部品、5G基地局向けフィルタなど多彩な製品群を持ち、業績は安定成長基調にあります。
株主還元も積極的で、配当利回りは2%台後半を維持しています。

直近業績と株価推移

2023年度の売上高は1兆5,000億円超、営業利益は2,500億円を計上しました。
株価は2023年秋以降レンジ相場が続き、2500円~3000円での揉み合い期間を経て2024年春に上放れました。
押し目買いの好機と見られる水準は2700円付近、ブレイクアウトのサインは2900円突破です。

TPOチャートの実践的分析

Value AreaとPOCの見方

TPOチャートでは、70%の取引が集中する価格帯をバリューエリアと呼びます。
バリューエリアの中心価格をPoint of Control(POC)といい、市場参加者が最もアグレッシブに取引した水準を示します。
村田製作所株では、バリューエリア2700円~2850円、POC2800円付近が重要なサポートとして機能しました。

ティックボリュームとTPO分布

日中足ティックボリュームを併用し、時間帯ごとの取引活発度を確認します。
前場と後場のTPO数の偏りを比較することで、機関投資家の昼休み前後の売買意欲を把握できます。
たとえば前場にTPOが集中した場合は、当日の高値更新期待度が高まります。

村田製作所におけるTPOと乖離率のケーススタディ

日付終値25日移動平均乖離率TPOバリューエリアPOC価格
2024/03/012780円+3.2%2700~2850円2800円
2024/04/102950円+7.5%2800~3000円2900円
2024/05/202620円-4.8%2600~2750円2700円
2024/06/153050円+10.1%2900~3100円3000円

チャート事例のポイント解説

  • 3月初旬は適度な乖離率+TPOバリューエリア内での反発を示唆
  • 4月中旬、乖離率+7%超とTPO分布拡散で過熱サイン
  • 5月下旬は乖離率マイナス域とPOC2700円タッチで押し目買い好機
  • 6月中旬、乖離率+10%、POC3000円ブレイクで順張りエントリー

TPOチャートと乖離率を組み合わせたトレード戦略

エントリーポイントの見極め

乖離率が-5%前後まで拡大した際、TPOバリューエリア下限付近での反発を狙います。
POC再タッチ+RSI30以下反転のダブルシグナルが出れば強い買いサインです。

リスク管理と損切り設定

損切りはエントリー価格の3%~5%下、POCやバリューエリア下限割れを目安に設定します。
ATRブレイクアウトでのストップ幅を計算し、値幅制限の逆機能を最小化します。

利確戦略

利確は乖離率+5%~10%到達か、TPOバリューエリア上限タッチで部分利確します。
残玉はバンドウォークやVWAP乖離が収束するまでホールドする戦略が有効です。

まとめ

村田製作所株のTPOチャートと乖離率分析は、過熱感とリバウンドポイントを同時に把握できる強力な手法です。
Value AreaやPOC、移動平均乖離率、VWAP乖離、ATRブレイクアウトなど複数指標を組み合わせ、ダマシを排除しましょう。
ケーススタディで示したエントリーと利確ルールを参考に、自分のトレードルールをブラッシュアップしてみてください。

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