ボラティリティが高い局面で役立つ逆張りと順張りの使い分け

ボラティリティが高い局面では、逆張りと順張りのどちらを選ぶかでパフォーマンスが大きく変わります。
本記事では、実務的に使えるインジケーターの組み合わせ、具体的なエントリー/損切り/利確ルール、銘柄例、検証フローまでまとめて解説します。
読み終えると、ボラティリティが高い場面で「何を」「いつ」「どのように」判断すれば良いかが明確になります。

 

ボラティリティが高い局面とは何か

 

ボラティリティが高い局面は、値幅の拡大と出来高の急増が同時に発生する相場です。
ニュースや決算、マクロイベント、材料出現などがきっかけで一方向に振れることが多いです。
ただし「振れが大きい=方向が出る」とは限らず、レンジ化して上下に荒く動くこともあります。
従ってまずは「トレンド発生(順張り適性)」か「オーバーシュート/一時的なパニック(逆張り適性)」かを見極める必要があります。

 

逆張りと順張りの基本的な考え方

 

順張り(トレンドフォロー)の基本

 

順張りはトレンドを追いかける手法です。
一度トレンドが出れば比較的分かりやすく利益を伸ばせます。
ボラティリティが高くてもADXが上昇している、移動平均線が整列している、出来高ブレイクがあるといった具合に「トレンドの根拠」が確認できれば順張りが有効です。

 

逆張り(リバウンド狙い)の基本

 

逆張りは過剰反応や一時的な投げを狙う手法です。
ボラティリティが高い場面で一時的に極端な価格に達すると、RSIやボリンジャーバンドのバンド外側で反発する確率が上がります。
ただし逆張りはトレンド継続に弱く、損切り幅が膨らむと致命的になるため資金管理が重要です。

 

重要指標とその使い方(実戦的)

 

指標意味順張りでの見るポイント逆張りでの見るポイント
ADXトレンドの強さを示す20以上でトレンド志向、40超で強いトレンド10〜20台でトレンドが弱い時は逆張りの候補
RSI買われ過ぎ/売られ過ぎの判定RSIが50↑でトレンドの継続確認に使うRSIが30以下または20台で反発狙い
ATR平均的な値幅(ボラティリティ)ATRが上昇中ならトレンドの伸びを期待ATRが急上昇した局面は逆張りのリスクが大きいので注意
VWAP出来高加重平均価格、機関の中心価格帯価格がVWAPの上で推移→強気維持で順張り優先価格が大きくVWAPから乖離→リバウンド候補
ボリンジャーバンド標準偏差でバンドを表示バンドブレイクで順張りの継続を確認バンドを大きく外れた後のバンド内回帰を狙う

 

上表は実戦でよく使う組み合わせです。
これらを単独で使うとダマシが多いので、必ず複数指標で根拠を重ねます。

 

順張りの実践ルール(テンプレ)

 

対象:中期〜短期のトレンド狙いのトレードです。
条件:ADXが25以上で上昇中。
条件:価格が25日移動平均を明確に上抜けして、出来高が直近20日平均の1.5倍以上。
条件:RSIが50〜80のレンジ(過熱前のゾーン)。
エントリー:25日線上抜け日の2本目の始値で指値または成行の逆指値注文。
損切り:直近の50日移動平均またはATR×1.5の範囲で逆指値。
利確:リスクリワード2:1を目安にトレーリングストップを導入。

 

実例:25日線を上抜けた時の銘柄例として、トレンドが出やすい業績好調の中型株を狙います。
例:サンバイオ(4592)や任天堂(7974)のような出来高・ニュースでトレンド化しやすい銘柄は順張りが有効なことがあります。
ただし大型株は値幅が出にくい点に注意します。

 

逆張りの実践ルール(テンプレ)

 

対象:一時的な暴落やオーバーシュートのリバウンド狙いです。
条件:RSI(14)が30以下、またはボリンジャーバンドの下バンド外側で陽線出現。
条件:出来高が直近10日平均を上回っていること(投げや材料での急落を確認)。
条件:ADXが低下中(=トレンドが確立していない)か、直近サポートでの反発サイン。
エントリー:下落の翌日、安値からの25%戻しを確認して逆張り買い。
損切り:直近安値の-1〜1.5ATR下に逆指値をセット。
利確:短期の押し目で利確、リスク小→リワード1.5〜2倍目安。

 

逆張りはトレンド継続に弱いため、ポジションは小さくし、損切りを厳格にすることが必須です。
例:決算で一時的大幅下落した銘柄(例:キオクシアホールディングス(285A))の短期反発を小ロットで狙う、といった運用が典型です。

 

局面ごとの使い分けフローチャート

 

1)出来高急増+ADX上昇→順張り優先。
2)出来高急増+ADX低下(ただしRSI極端)→短期逆張り候補。
3)ボリンジャーバンド外→逆張り候補だが、ATR急伸は回避。
4)移動平均線が複数本で整列→順張りでトレーリング。
5)材料不明のスパイク→レンジ回帰(逆張り)を優先することが多い。

 

ポジションサイズと資金管理(必須ルール)

 

大きなボラティリティ局面では一発の損失が致命的になります。
ルール例:1トレードあたりリスク許容額を総資金の1〜2%に限定します。
損切り幅がATRベースで大きければ、ポジションを小さくしてATR×損失上限を保つようにします。
逆張りは特にポジションをさらに半分にする等の工夫をします。
分散:同一セクターや同一材料に偏らないように3銘柄以上で分散を図ります。

 

バックテストと検証フロー(簡易)

 

  1. 条件定義:順張り/逆張りのルールを明確に文章化する。
  2. データ取得:過去3〜5年のデイリーデータを用意する。
  3. ルール実行:ルール通りに売買シミュレーションを行う。
  4. 指標確認:勝率、平均損益、ドローダウン、最大連敗を確認する。
  5. 微調整:損切り幅や利確ルールを最適化する。

 

バックテスト上は勝っても実トレードではスリッページや注文執行の違いで結果が変わるため、必ず紙上トレード→小ロットで実運用→拡張の順で進めます。

 

よく使う具体的テクニカル設定(コピペで使える)

 

  • RSI:14、買われ過ぎ80、売られ過ぎ30。
  • ADX:14、トレンド基準20。
  • ATR:14、損切り幅=ATR×1.5〜2。
  • 移動平均:25日、50日、200日。
  • ボリンジャーバンド:20期間、±2σ。

 

具体銘柄の使い分け例(ケーススタディ)

 

ケース1:材料で一気に上昇した銘柄(順張り向き)。
例:サンバイオ(4592)は過去に材料で急伸してトレンド継続した局面があるため、ADX・出来高確認後に順張りで入る戦略が有効でした。
ケース2:決算で織り込まれず急落→短期リバウンド狙い(逆張り向き)。
例:キオクシアホールディングス(285A)は決算の一時反応で大きく振れることがあるため、RSIとボリンジャーの反発で短期逆張りを検討します。
ケース3:大型で連鎖的に動く時(リスク管理重視)。
例:任天堂(7974)やトヨタ(7203)のような大型はボラ低下時は順張りで小さな値幅を積む戦略が向きます。

 

実戦チェックリスト(エントリー前)

 

  • ニュースやIRで材料を把握したか。
  • ADX/RSI/ATRで根拠は揃っているか。
  • 出来高は通常より増えているか。
  • 想定損失が総資金の1〜2%以内か。
  • 逆指値と利確ルールを必ず発注しているか。

 

参考リンク

 

以下は当サイト内の関連記事です。
必要ならばそこからさらに銘柄検証や資金管理の詳細を確認してください。

 

 

実践でよくあるQ&A

 

Q:ボラが高いときは順張りで常に勝てますか?

 

A:いいえ、ダマシや急転直下も多くなります。
順張りは根拠(ADX、出来高、移動平均整列)が揃っているときに限定するのが賢明です。

 

Q:逆張りで成功するコツは?

 

A:小ロット、短期利確、厳格な損切り、そして材料の把握です。
根拠にない強いトレンドの途中で無理に逆張りをすると致命傷になり得ます。

 

まとめと実行プラン

 

ボラティリティの高い局面では順張りと逆張りのどちらが有利かは状況次第です。
重要なのは指標で根拠を重ね、資金管理を徹底することです。
本記事で示したテンプレをまずはバックテストとペーパー(紙上)トレードで検証し、小ロットで実運用してから拡張してください。

 

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