出来高ブレイクで捕まえる短期急騰銘柄の見つけ方(板読みテンプレ)

出来高ブレイクは短期急騰を捉える上で最も分かりやすいトリガーの一つです。
しかし出来高だけに飛びつくと見せ板やPTS先行の罠に捕まるリスクが高くなります。
この記事では実務で即使える板読みテンプレートを提示し、スクリーニング条件から歩み値・VWAP・VPOCとの照合、発注ルールまでを網羅的に解説します。

重要な前提:何が出来高ブレイクなのか

 

出来高ブレイクとは、通常の出来高レンジを大幅に上回る出来高が伴って価格が重要な抵抗やレンジを上抜ける現象を指します。
この「大幅に」という定義は取引対象や市場環境で変わりますが、実務では直近20日平均の2倍以上かつ直近の時間足で持続していることを確認するのが基本です。

短期急騰銘柄発見の全体フロー(テンプレ)

 

短期急騰を捕まえる一連の流れをテンプレ化すると下記の5フェーズになります。
1)スクリーニングで候補抽出。
2)前場のPTS/板気配チェック。
3)歩み値と出来高のリアルタイム照合。
4)分割エントリーと逆指値の設定。
5)利確・トレーリングとログ保存。
ツール環境とデータフローを整備しておくことが勝率向上に直結します。

スクリーニング条件(まずはウォッチリスト生成)

 

まずは機械的に候補を抽出します。
以下は短期急騰向けの基本スクリーニング条件テンプレです。

条件説明
出来高/20日平均 ≥ 2倍当日出来高の急増候補を抽出します。
直近5日で高値更新(もしくはレンジ上抜け)ブレイクのトリガーを持つ銘柄を選びます。
時価総額 50億〜1000億円極端に流動性が低い銘柄は除外します。
貸借倍率・信用残の異常値チェック踏み上げや空売り圧力のリスクを事前に把握します。

 

板読みテンプレ:エントリーチェックリスト(5ステップ)

 

板読みはデイトレで即効性のあるスキルです。
下の5ステップを順に確認して合格なら小ロットで分割エントリーします。

STEP 1:PTSと寄付きの整合性を確認する

 

PTSで既に先行上昇がある場合、寄付きでの剥がし(ギャップダウンや寄り天)リスクがあるため注意します。
PTS先行がある銘柄は寄付き前に板の厚みと歩み値の先行約定をチェックします。

STEP 2:板の厚みとキャンセル頻度を観察する

 

見せ板の特徴は短時間で指値が入れ替わりキャンセル頻度が高いことです。
厚い買いが長時間維持され、歩み値で約定が発生している場合は本当の資金が入っている可能性が高まります。

STEP 3:歩み値で大口連続の有無を確認する

 

歩み値(Time&Sales)で同一方向の大口約定が連続するかを見ます。
1分以内に平均約定サイズの3倍以上が2回以上続くなら資金の実装度が高いサインです。

STEP 4:VWAPとVPOCの整合性で“支持帯”を探す

 

当日VWAPと出来高プロファイルのVPOC(出来高が厚い価格帯)が一致するポイントは機関の平均取得価格を示し、これを下回らずに押し目が入れば強い。
VWAPやVPOCを使った需給の裏取りは騙しを減らす有効手段です。

STEP 5:信用残・貸借・PTSの推移で持ち越しリスクを判断する

 

短期トレードで持ち越す場合は信用買残や貸借の動きで踏み上げリスクや空売り圧力を評価します。
持ち越しは基本的に原則禁止か、特別な事情のみ許可するルールにするとリスク管理が容易です。

発注テンプレとリスク管理(分割・逆指値)

 

実務では下のテンプレに従い発注します。
1)総ポジションをA+B+Cの3分割にする。
2)初動が確定するまではAのみ入れて、歩み値で根拠が継続すればB・Cを段階的に買う。
3)逆指値はATR(14)×1.2またはVWAP下抜けで設定する。
4)スリッページ想定値は銘柄ごとに月次で記録し、発注方式を調整する。

事例検証:レーザーテック・東海東京・信越化学での適用

 

レーザーテック(6920)の短期急騰局面では事業材料や海外需給がトリガーとなり、出来高が急増してからVWAPを上回る動きで持続することが多いです。
この場合は歩み値での大口連続が早期の合図になり、PTSの動きと寄付き後の板の整合性を確認して分割で追随します。

東海東京フィナンシャルの事例ではADXやCCIといったトレンド指標を組み合わせることで出来高ブレイクの精度を高められるケースが報告されています。
テクニカルと需給の両面から裏取りできることがポイントです。

信越化学(4063)のような材料の出方で大きく動く銘柄では、VWAPの折り返し点と出来高クラスターが一致した押し目で拾う手法が有効でした。
押し目の深さと出来高持続性をしっかり確認することが重要です。

監視ツールとデータ環境(実務メモ)

 

リアルタイムで板・歩み値・VWAP・VPOCを同時表示できる環境は必須です。
楽天証券SPEEDやQuickの板情報、TradingViewのチャート、出来高プロファイル表示できるツールを組み合わせて運用すると効率的です。

検証用CSV・ログフォーマット(雛形)

 

バックテストや事後検証のために下のCSVフォーマットでログを保存してください。

timestamp,ticker,side,price,size,expected_price,slippage,order_type,equity_after,comment
2025-09-01 09:05:12,6920,B,13200,10,13180,20,limit,1001500,初動A約定
2025-09-01 09:07:03,6920,B,13280,20,13220,60,limit,1000900,追加B約定

 

よくある失敗とその回避策

 

  • 失敗1:出来高スパイクだけで飛びつく。→ 回避:歩み値の大口連続とVWAPの位置を確認する。
  • 失敗2:見せ板に騙される。→ 回避:キャンセル頻度と約定実績をチェックする。
  • 失敗3:寄付きの剥がしで被弾する。→ 回避:PTSと寄付きの整合性が取れるまで小ロットで待つ。

 

実戦チェックリスト(即印刷・携帯用)

 

確認項目合否
出来高が20日平均の2倍以上か
歩み値で大口連続があるか
板に長期間維持される厚みがあるか(見せ板でない)
VWAPおよびVPOCと整合しているか
PTS先行と寄付きで剥がしがないか

 

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最後に:実戦で使う心構え

 

出来高ブレイクは強力なシグナルですが、単独では騙しも多いです。
必ず板・歩み値・VWAP・VPOC・信用動向を複合的にチェックしてから小ロットで参入する習慣をつけてください。
また発注ログを必ず保存し、月次でスリッページや勝率を検証することを習慣化すると着実に成長できます。

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