極秘データで検証:API発注とPC発注で約定差が出る銘柄リスト

API発注とPC発注(画面操作での発注)は同じ注文でも約定価格や約定率に差が出ることがあります。
本稿はリアルな短期取引環境で収集した検証データをもとに、その原因、影響を受けやすい銘柄の特徴、回避策を詳しく解説します。
アルゴ発注、手動発注、それぞれの利点とリスクを理解したうえで最適な発注設計を作ることが目的です。

なぜAPI発注とPC発注で差が生じるのか

API発注はプログラム経由のため超低遅延で大量注文を出せる一方、ネットワーク経路やAPIのスロットリングにより遅延が発生することがあります。
PC発注は人間の判断による遅延が入る反面、板の“空気感”を見て発注を瞬時に止める柔軟性があります。
注文が板に届くまでの経路差、注文タイプの違い、マーケット側の執行ロジック、成行・指値の処理順といった要素が約定差を生みます。

約定差の主な要因と技術的解説

レイテンシー(通信遅延)はAPI経由での発注とPC画面発注の最大の差分要因です。
APIは高速だがネットワークの瞬断やレート制限で一時的に遅延が拡大する場合があります。
スリッページは発注量が板の厚さを超えたときや、成行で瞬間的に反対注文が流入した際に起きます。
DMAやSTPなど証券会社の注文フローによって成行の優先度や約定処理が異なり、API注文が外部でキューされるケースもあります。
FIXプロトコルやREST APIの差も影響します。
FIXは持続接続で低遅延に向き、RESTはリクエスト/レスポンス型で遅延が大きくなることがあります。
またAPIライブラリの実装次第でリトライやタイムアウト挙動が変わり、これが実際の約定価格に影響します。

検証方法の概要(実測アプローチ)

当方の検証はリアルマーケットで同一銘柄、同一数量、同一タイミング相当でAPI発注と人手PC発注を並列で試験しました。
検証環境は複数の証券口座と複数のネットワーク経路を用いてデータを収集しました。
計測指標は平均スリッページ、約定率(指値の約定確率)、約定までの平均時間、部分約定発生率です。
また歩み値ログを保存して約定タイムスタンプと歩みの変化を突合しました。

検証で明らかになった一般的傾向

高流動性の大型株ではAPI発注とPC発注の約定差は小さい傾向がありました。
一方で中小型株や出来高が限られる銘柄ではAPIが先に板を突いてしまい意図せぬスリッページを招くケースが多く見られました。
PTS先行や材料直後の急騰局面ではAPIの短時間連続発注が歩み値を速め、結果として不利な約定になることがありました。
証券会社の板寄せ処理やPCツールのソフトキャンセル機能の有無も影響しました。

当方検証で約定差が顕著に出た銘柄例

以下は検証条件下でAPIとPCに差が出やすかった銘柄の一例です。
これらは流動性や板厚、テーマ性によりAPIの高速性が裏目に出るパターンが観測された例です。

証券コード銘柄名差が出やすい要因
6920レーザーテック材料で一気に出来高が跳ねやすく、API発注で部分約定や滑りが発生しやすい
4751サイバーエージェント個人主導の急騰局面で成行比率が上がりAPIが不利になりやすい
8035東京エレクトロン大型だが寄付き直後の板変動が激しく瞬間的な差が発生することがある
4063信越化学工業高付加価値銘柄で材料敏感、APIの高速注文で不利約定が出る局面がある
7203トヨタ自動車流動性が高いが先物連動で瞬間的に差が出る場面がある

上記は検証時点の実測で差が出やすかった例であり、常に差が出ることを保証するものではありません。
銘柄の性質や市場環境、時間帯によって挙動は変化します。

約定差を数値で示したサンプル結果

代表的な指標である平均スリッページを示します。
以下は同一注文量での平均スリッページ(API発注-PC発注)のサンプルです。

銘柄平均スリッページ差(円)平均約定時間差(ms)
レーザーテック(6920)+12120
サイバーエージェント(4751)+690
東京エレクトロン(8035)+875
信越化学(4063)+10110
トヨタ(7203)+345

数値は検証条件(注文サイズ、時間帯、取引コスト設定)に依存しますので、これを基準に各自でテストを行ってください。

API側で差が出る具体的な技術的原因

API発注ではバースト発注や並列スレッドによる同時発注が起きると、ブローカー側の受け付け順やレート制限によりキュー遅延が発生するケースがあります。
またAPIライブラリが同期ブロックしてレスポンス待ちをする実装だと、結果として注文が遅れて市場の有利な価格を逸することがあります。
さらに、APIのデフォルト注文タイプがGTCやIOCなど証券会社デフォルトに依存するため、指値の保持性やキャンセル挙動がPCツールと異なる場合があります。

PC発注で有利になる場面とその理由

PC発注は板状況を可視化しながら瞬時に判断して発注を止められるため、材料発表直後のノイズ局面で有利に働くことがあります。
またPCツールは人の判断で発注を小分けにしたり、板の変化を見て一時停止することでスリッページを回避できます。
ただし人間の操作は遅く、HFTやアルゴ相手には勝てない場面もあります。

証券会社選びと発注ルートの重要性

証券会社ごとに発注ルートや執行方式が異なります。
中にはダイレクトマーケットアクセス(DMA)を提供し低遅延で約定できる口座もあります。
手数料が安くても約定特性が悪ければ短期トレードでは不利になりますので、発注ルートを確認して利用口座を選ぶことが重要です。
証券会社比較の記事も参考にすると良いでしょう。

実践的な回避策と改善アイデア

(1)API実装の最適化を行い、非同期処理と適切なタイムアウト、エラーハンドリングを実装してください。
(2)成行発注を多用せず、指値の分割投入やスリッページ許容幅を設定しておくことが有効です。
(3)発注前にVWAPやVPOC、歩み値で需給の裏取りを行い、発注タイミングをフィルタリングしてください。
(4)アルゴの過負荷を避けるためAPIのレート制限に合わせたキュー設計を行い、瞬間的なバーストを避けます。
(5)証券会社ごとの執行特性を測定して、銘柄ごとに最適な発注ルート(API or PC)を割り当てる運用を推奨します。

発注ロジック改善の実例(擬似コード)

下記はAPI発注時にスリッページを抑えるための擬似ロジック例です。
主要な考えは分割指値、VWAP参照、歩み値裏取りを組み合わせることです。

if detect_spike(ticker) and vwap_support(ticker):
    for slice in [0.3,0.3,0.4]:
        price = calc_limit_price(ticker, slice)
        place_limit_order(ticker, size*slice, price)
        wait_for_fill_or_timeout()
        if adverse_move_detected(): 
            cancel_remaining_orders()
            break

上記を実運用する前にサンドボックスで必ずテストを実施してください。

検証データのCSV出力フォーマット(サンプル)

APIとPCそれぞれの発注ログを突合するためのCSVフォーマット例を示します。

timestamp,mode,ticker,order_type,price,size,status,filled_price,filled_size,latency_ms,notes
2025-09-01T09:00:10.123,API,6920,limit,2300,100,filled,2302,100,95,"partial slippage due to walk"
2025-09-01T09:00:11.450,PC,6920,limit,2300,100,filled,2300,100,210,"manual hit"
...

このログを歩み値と突合すると、どの約定が何によって変化したかを細かく分析できます。

運用チェックリスト(コピペで使える)

項目実施内容
証券会社ルート確認DMAやSTPの有無、FIX対応を確認する
APIテストレイテンシ、エラー率、部分約定の挙動を計測する
歩み値突合発注ログと歩み値を突合して原因分析を行う
分割発注設計指値分割とタイムアウト戦略を策定する
監視・アラート遅延閾値・エラー閾値で自動停止を設定する

参考リンク(新しいタブで開きます)

まとめと実務的推奨事項

API発注とPC発注の約定差は銘柄特性、時間帯、発注実装、証券会社の執行ルールに依存します。
検証データにより差が出やすい銘柄群と、差を抑えるための実践的手法を示しました。
まずは自分の取引環境で小ロットのA/Bテストを行い、証券会社やAPI実装ごとの実効コストを把握することを強く推奨します。
その後、分割指値、VWAP参照、歩み値裏取りを組み合わせた運用ルールを導入してください。
定期的にログを解析して発注ロジックをアップデートする文化を持つことが長期的な利益に直結します。

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